未来のワイン業界を牽引するプロフェッショナルたちが、ワインへの愛と魅力を語ります。 未来のワイン業界を牽引するプロフェッショナルたちが、ワインへの愛と魅力を語ります。

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未来のワイン業界を牽引する
プロフェッショナルたちが、
ワインへの愛と魅力を
語ります。

お三方がワインに魅了されたきっかけは何でしたか?

実は私、もともとワインには抵抗があったんです。学生時代って良いワインを飲む機会が少ないと思いますが、初めて飲んだ赤ワインにえぐみや渋みを強く感じてしまって...。それからしばらくはワインを飲むのを敬遠していました。
しかし、前職時代に連れて行ってもらったワインバーで印象がガラッと変わったんです。「本当に美味しいワイン」は素晴らしい風味や香りを持っているのかと感動しました。もっとワインを知りたいという欲が出てきて、週末にバーに通い、新しいワインを開拓するようになったのがきっかけですね。
井出
学生時代に2回フランス留学した際、当たり前のようにワインが生活に馴染んでいることに興味を持ちました。例えば、1度目の滞在中にお世話になったホストファミリーの家の地下には立派なワインセラーがあって、お父さんが毎日料理に合うワインを選ぶのがその家の日常でした。
2度目の滞在は寮生活だったのですが、留学生同士で飲み会をする時に持ち寄るのはワインとチーズが定番だったんです。「裕福な人のもの」「特別」という先入観を抱いていたワインがより身近な存在に感じられるようになりました。
辻本
私は2015年に8ヵ月間イタリア滞在した時の経験がきっかけです。当時開催されていたミラノ万博で、日本館のスタッフとして働いていたのですが、その時の万博のテーマが「食」だったんです。世界各国が自国の食文化をアピールする中で、ワインが多くの国にとって食と切り離すことのできない重要な存在だと知りました。オフの日はイタリア各地のワイナリー巡りをして、ワインへの興味がどんどん深まっていきました。

みなさんがそこまで夢中になる
ワインの奥深さとは、一体どういうものでしょうか。

みなさんがそこまで夢中になるワインの奥深さとは、一体どういうものでしょうか。
井出
ワインには1つひとつにストーリーがあって、地理や歴史、化学、生物学、芸術など、たくさんの要素が紐づいているので、誰もがワインを好きになれるきっかけがあるところが面白いし、奥が深いですよね。
辻本
うんうん、入り口がすごく多い。そして、深めようとすればするほど学べることも多い。もはや一生かけてもどこにも辿り着けなさそうな「深さ」がワインの世界には広がっているんです。
井出
世界中に色んな生産者がいて、毎年新しいワインが誕生する...ワインの探求には終わりがありません。
みなさんがそこまで夢中になるワインの奥深さとは、一体どういうものでしょうか。
勉強が好きな人や好奇心が強い人は特にワインの魅力に取りつかれやすいですよね(笑)。私はもともと勉強が好きなのですが、とりわけワインの勉強は終わりがなく、全然飽きません。
また、世代を超えて楽しめるのもワインならではの魅力だと思います。数年前、フランスで成功された日本人醸造家さんのディナーイベントに参加したのですが、80名ほどいた参加者の中で20代は私くらいでした。しかし、普通だったら40〜50代の方々と会話する際に緊張してしまいますが、ワインを介せば会話も弾み、気兼ねなく話すことができたのです。
その時に仲良くなった方々とは実は今でも繋がっており、スカラシップを受賞した際にもお祝いの言葉をくださったりと、ワインがあってこそ生まれた世代を超えた交流だったと思っています。
辻本
同じ造り手であってもヴィンテージ(ブドウの収穫年)によって味が全然違うし、なんなら同じ年のワインだとしても個体差がある。一般化できないからこそ、どんなにワインに詳しい人でもワインのことに関しては謙虚ですよね。「ワインの前ではみな平等」というスタンスが素晴らしいと思います。

井出さんと河さんの肩書きにある
ソムリエ・スカラシップ受賞の秘訣を教えてください。

井出
いろんな要因が考えられると思いますが...多角的な情報がすぐ得られる環境にあるということがひとつ言えますね。公式通販サイト「ENOTECAonline」を覗けば、1本のワインについて、味わいや区分、生産者や生産地、ペアリングまで多岐にわたる情報が詰まっています。ワイン辞典さながらの充実度で、私も何度も参考にしました。
私がスカラシップへの挑戦を決めたのは、前職がIT業界だったため、同世代のワイン業界の方々に少しでも早く追いつきたいという思いからでした。 挑戦するにあたっては過去の受賞者を交えた勉強会を有志を募って開催していました。そこに入社年や部署の壁はなく、みんなで同じ目標に向かって切磋琢磨できる貴重な時間です。
挑戦する中で、日々の業務に追われ、準備が上手くいかない時などは心が折れてしまいそうになりますが、そのような時こそ一緒に頑張れる仲間がいたことが受賞できた理由の一つだと思っています。
辻本
ワインに精通した仲間ばかりだから、情報交換するだけでも新しい知識が身に付くし刺激にもなりますよね。
井出
あとはあれですね、最新トレンドを掴むために国内外のワイン専門誌やWebサイトはよくチェックするようにしています。職場では自社輸入ワイン以外の選定に関わっていたので、世界各国の銘醸地や業界をリードするプロデューサーを調べるなど、日頃の業務がスカラシップに向けた勉強にもなっていたと思います。

※J.S.A.ソムリエ・スカラシップとは

次世代を担う若手ソムリエの育成・輩出を目的とした、日本ソムリエ協会が主催するコンクール。
テイスティングやプレゼンといった実技や筆記試験など、今後ワイン業界を盛り上げていく人材として、能力だけではなく人柄も重視される。

ホテルやレストラン業界に勤めるソムリエの参加者が多い中、インポーターであるエノテカからは4年連続で受賞者が選出された。

※J.S.A.ソムリエ・スカラシップとは

辻本さんが取得した
WSET Level 4 Diploma
は、
どんな資格なのでしょうか?

辻本さんが取得したWSET  Level 4 Diplomaは、どんな資格なのでしょうか?
辻本
エノテカ入社後に取得必須なソムリエやワインエキスパートの資格は「お客様に向かってワインをはじめとする飲料をプレゼンする力」が試される一方、WSETはワイントレードに関わるプロフェッショナルを養成することを目的とした資格です。例えば、未知のワインに出会った時に、いくらなら、どのようなマーケットで売れるのか、そういったことを考える力が求められます。
井出
WSETの中でもいくつかのレベルがあって、辻本さんが持っているのは一番上の「Level 4 Diploma」という資格なんですよね。この資格を持っているのって、日本で何人くらいなんですか?
辻本
2021年5月現在で89人ですね。
辻本さんが取得したWSET  Level 4 Diplomaは、どんな資格なのでしょうか?
資格保持者が100人もいないんですね。WSET Diplomaの試験は英語でしか受けることができず、英語で沢山の文献を読み、論文を書いたりする力も求められます。ワインの知識だけでなく、高度な英語力も求められるため、合格されたこと本当に尊敬します。
辻本
ちなみに私は英作文が全然ダメで、Diplomaを目指すと決めてから本格的に勉強し始めました...。
井出
エノテカでは「ソムリエ」または「ワインエキスパート」の資格取得が必須で、さらにワインの品種に関する基礎知識などが総合的に学べるWSET Level 2の資格取得も推奨されています。これらの資格の受験にあたって必要な費用は会社が補助してくれるってとても良いですよね。こんなに手厚いサポートをしてくれる会社は多分他にないんじゃないかな?入社時点ではワインのことに詳しくなくても全く問題ないと思います。
志望されるみなさんは「自分はワインに全然詳しくないけど大丈夫だろうか...」と不安に思うかもしれませんが、安心してください。「ワインが大好き!」「ワインを学びたい!」という情熱さえ持っていれば、入社してから会社がしっかりとサポートしてくれますから。

※WSETとは

ワイン産業をサポートするイギリスのワイン商組合『Vintners Company』により1969年に創設され、現在では世界70カ国でWSETの教育組織が運営され、年間約95,000人が認定試験を受験するなど、国際的に認められている認定資格。

コースはLevel 1〜4に分かれており、最高レベルのLevel 4はワインに関するオールラウンドなプレミアム資格として世界に認められている。

※WSETとは

初心者の方たちが「ワインの道」を歩むうえで
どのようにワインを楽しむといいでしょうか?

ビギナーたちが「ワインの道」を歩むうえでどのようにワインを楽しむといいでしょうか?
まずはワインに使われている「ブドウの品種」を知ることをおすすめしたいです。品種を知ることは、数学の公式や英語の文法を学ぶことと同じくらい重要で、応用が効く内容なんです。
井出
ワインを「学ぶ」という視点だけでなく、「楽しむ」という視点においても、品種を知っていれば自分の好きな味わいがわかりますよね。
ブドウ品種は沢山ありますが、まずは基本品種と呼ばれる品種からおさえましょう。なぜなら、流通する多くのワインは基本品種を用いたものが大部分を占めるからです。
赤なら「カベルネ・ソーヴィニヨン」「シラー」「メルロ」「ピノ・ノワール」の4品種。白なら「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」「リースリング」の3品種。これら基本品種の味わいの特徴を覚えておくと、その品種ごとの大まかな味わいが決まっているため、「このワインはピノ・ノワールを使っているからラズベリーのような風味かな?」と購入前から味わいを予想することができます。そうするとワイン選びも楽しくなりますよ。
辻本
スーパーマーケットや酒屋さんで買える2,000円以下のワインって、マーケティングされて作られているので、品種の特徴がすごくよく出ているんですよね。だから、いきなり高いワインを買って飲まなくても、実はお手頃なワインの方が品種による特徴の違いがわかりやすい場合もありますよ。

みなさんが思う「ワインの魅力」を教えてください。

みなさんが思う「ワインの魅力」を教えてください。
ワインは「人と繋がれるお酒」です。友人、家族、出会ったばかりの人とも、年齢が離れていても、1本のワインを囲んで楽しい時間を共有できます。
それに加え、ワインが好きになると旅行が楽しくなりますよね。私はあまり海外に行った経験はないのですが、日本国内にある沢山のワイナリーを訪問しました。その際、その土地の料理を食べながら、その土地のワインを飲むのも旅行の醍醐味で、目的の一つだと思っています。ワインを通じて旅に彩りが増しました。
辻本
河さんの意見に完全同意です!イタリアに滞在していた時は今ほどワインのことを知らなかったので、今改めて旅行に行ったらもっと楽しめるだろうなと思ってしまいます。
ワインを好きになってからは、レストランのワインリストを見るのも楽しくなりました。
ソムリエさんの気持ちや考え方がリストから読み取れるのが面白いし、ワインペアリングでの工夫を見ると感動します。
みなさんが思う「ワインの魅力」を教えてください。
井出
ワインを知らなかった時の旅行が「もったいなかったな」と感じますよね。それくらい私にとってワインは「自分の世界を広げてくれるもの」です。学びがいがあるし、好奇心をくすぐられる。ワインを通じて自分自身の趣味がどんどん広がっています。「ワインは人生を豊かにする」とよく言われますが、その通りだと思います。
辻本
まだまだ話し足りないですね...。今度またこのメンバーで集まってワインの勉強会をしませんか?
いいですね!
井出
やりましょう!