

From Professional
未来のワイン業界を牽引する
プロフェッショナルたちが、
ワインへの愛と魅力を
語ります。
お三方がワインの道に進んだきっかけを教えてください。
- 山﨑
- 「ワインを仕事にするって何だかカッコいい」というのが正直なきっかけです(笑)。でもそこから調べるうちに、ワインの歴史の深さや今も進化し続けていることを知りました。元々歴史の勉強は好きで、1本のワインから地理や生産方法をさかのぼることにも同じ面白みを感じたんです。手に職をつけたい、追求しがいがあるものが良いと感じていた私にワインの世界はピッタリだと感じました。
- 住浪
- 過去、居酒屋でピッチャー提供されたワインをいただいた時は、正直あまり美味しいとは思えませんでした。でもその後、父と飲んだ私の生まれ年の「シャトー・ランシュ・バージュ」にその印象を塗り替えられたんです。味わいも、鼻に抜ける香りも全然違う。調べるうちに、素晴らしい味わいの背景には生産者や生産地のストーリーがあることを知りました。その時、私の探究心のスイッチが押されてしまったんです。もっともっと学びたいという気持ちが抑えられず、ワインの世界で活躍するために転職を決意。思いきって正社員を辞め、ワインに強い酒販店でアルバイトとして経験を積んだ後、エノテカへ入社しました。
- 安岡
- 元々お酒は好きでしたが、学生時代はワインに触れる機会はほとんどありませんでした。だからこそ知らない世界を覗いてみたくなったのです。一生の中で働く時間はとても長いですよね。それなら、長い時間をかけて深く学び続けられるような、まだ見ぬ世界に挑戦したいと思い、思い切ってワインの道を選びました。
ワインの奥深さ、そこに携わる面白さを教えてください。

- 山﨑
- 僕の中でワインの魅力が開いたのは入社したての頃。少し良いワインを購入したのですが、チーズと合わせて食べた瞬間どちらもほんのり甘く美味しい味わいに変化したのです。なぜこんな味の広がり方になるのか、自分の中で疑問がいくつも湧き上がり、栽培や醸造など味わいを構成する様々な背景への関心が止まらなくなりました。追求した先に辿り着いたのが、生産者の哲学だったんです。栽培時や醸造時の工夫。微々たる天候変化への対応。愛する我が子のようにワインに向き合っていることを知り、その姿勢が一つひとつ積み重なり素晴らしい味わいに帰結している。その学びを、再び自分の舌で実感する時の幸せは何にも代え難いものです。

- 安岡
- ネットやテキストに載っている情報はあくまでも一部に過ぎないということ。むしろ生産者に直接話を聞いてこそ、彼らの強烈なこだわりや試行錯誤の深みに触れることができるのです。そんな生身の情報が消費者にとって魅力になったり、次のトレンドになったりもします。生産者の一番の仕事はワインを作ることであり、その情報をキャッチして魅力として伝えるのが僕たちの役割だと。彼らの想いに触れるたびに気が引き締まる思いです。好奇心と行動力を持ち続ける限り、ワインは私たちに絶えず新しい一面を見せてくれる存在です。
- 住浪
- エノテカで扱っているワインの生産者の方はこだわりをしっかり持たれている方ばかり。より勉強のしがいがありますよね。1本のワインを学ぶたびに世界や生産者への解像度が上がり、一口味わえば年齢や言語も超えて感動を共有しあうことができます。ワインの資格取得やソムリエコンクールなど挑戦の場も多いので、初めてお会いする方が同じバッジをつけていれば「お互い試練を乗り越えてきましたね」と仲間意識が芽生えるのも心温まる瞬間。ワインはあらゆるシーンで共通言語になってくれるものだと思います。そこに味わいだけではない奥深さを感じます。
安岡さんがJ.S.A ソムリエ・スカラシップに
挑戦したのはなぜでしょうか?

- 安岡
- この世界でプロフェッショナルを目指すには、ソムリエコンクールに挑戦したり研修を受けたり、あらゆる場に積極的に出ていくことが重要です。何をするにも費用がかかりますが、スカラシップに選ばれると、奨学金を付与いただけたり、コンクールの強化選手として研修の機会に恵まれます。つまり「自身がステップアップするための扉を開いてくれる仕組み」なんです。ですので自分の実力に関わらず、1年目から挑戦しようと決めていました。毎年挑戦したことで自分の実力も客観的に捉えることができ、「自分はまだまだ」と奮い立たせるモチベーションにもなりました。スカラシップへのエントリーは27歳までという制限がある中、受賞することができて本当に感無量でしたね。
- 住浪
- 審査には飲食店でのサービスを想定したロールプレイングもありますよね。一流ソムリエの方もおられる中で受賞されたのは本当に素晴らしいです。
- 安岡
- 練習に何度も付き合ってくれた先輩がいて、感謝してもしきれません......。受賞以降、全国の優秀な方々と研修やセミナーの機会でご一緒させていただいたり、トレーニングの機会をいただいています。皆さんのスキルを目の当たりにしてさらに刺激を受けて意欲も増すばかりです。
- 山﨑
- 挑戦を通じて豊富な知識や分析力が身につき、受賞を通じてさらに開かれたチャンスに恵まれる制度ですよね。若いうちから貪欲にワインを追求しようという意識を本当にリスペクトします。
※J.S.A.ソムリエ・スカラシップとは
次世代を担う若手ソムリエの育成、および全日本最優秀ソムリエコンクール強化選手の選考を目的とした、日本ソムリエ協会が主催するコンクール。筆記試験をはじめ、テイスティングやサービス実技などを審査し、今後ワイン業界を盛り上げていく人材として、能力だけではなく人柄も重視される。
ホテルやレストラン業界に勤めるソムリエの参加者が多い中、インポーターであるエノテカは2017年より通算5人目の受賞者となる。受賞者は奨学金の支給、研修旅行等に参加できる。

住浪さんが取得した
WSET Level 4 Diploma
は、
どんな力が身につく資格でしょうか?

- 住浪
- 論理的な判断に基づいたワインの提案力が身につきますね。たとえば醸造、熟成、気候がどれだけ味に影響するかといったことを、感覚ではなく根拠を示して提案できるようになります。Level3までは日本語で受けられますが、Level4は問も解答も英語のみ。その時点で一定の英語スキルが必要です。また最終試験は短時間でいくつもの小論文を書き上げなければならないため、発想力・文章力などの力も必要。精神も体力もものすごく消費しました。
- 山﨑
- 生産者からも一目置かれる資格ですし、しかも一発合格されていますよね。相当な勉強量だったはずです。

- 住浪
- トータルで1000時間ぐらいでしょうか。娘がいるので、朝5時に起床して6時半まで勉強、そこから娘や自分の支度をして出社するという生活を続けていました。土日も使える時間は全て試験勉強に注いでいましたね。
- 安岡
- どうしてそこまでのめり込めたのでしょうか?
- 住浪
- 純粋に楽しかったんですよね。流通や市場トレンドも学んだ上で「このワインはなぜこの味わいでこの価格なのか」が説明できるようになるので、今まで飲んだワインの答え合わせがどんどんできていくような感覚でした。あとは東京でしか受験できないので、交通費は絶対に無駄にするものか、という強い覚悟ですね(笑)。受験費用については会社からの補助制度が利用できたので、助かりました。
※WSETとは
ワイン産業をサポートするイギリスのワイン商組合『Vintners Company』により1969年に創設され、現在では世界70カ国でWSETの教育組織が運営され、年間約95,000人が認定試験を受験するなど、国際的に認められている認定資格。
コースはLevel 1〜4に分かれており、最高レベルのLevel 4はワインに関するオールラウンドなプレミアム資格として世界に認められている。資格取得者には受験費用の補助と、資格手当が毎月支給される。

EGSC(エノテカ・グッドサービス・コンテスト)について、山﨑さんのグランプリ受賞の秘訣を教えてください。

- 山﨑
- ワインプレゼンテーションでは、生産者の哲学まで理解していることをアピールしました。生産方法や地理など、その味わいに至ったあらゆる背景要素を分析して伝えることで、聞き手も「だからこのワインは素晴らしいのか」と感動や発見を楽しめると考えました。接客ロールプレイングでは私らしいスタイルで評価されたいと考え、自分の接客の強みを振り返ることから始めました。一方的なヒアリングではなくキャッチボールを楽しめることだと再認識し、お客様がどんなシチュエーションで、どんな気分で、どんなワインが飲みたいかをテンポ良く掘り下げることを意識しましたね。
- 安岡
- 受賞されてから、仕事に対して変化はありましたか?
- 山﨑
- お客様にとってエノテカの最初の接点になるのは店舗であるケースが多いですよね。第一印象を与えるショップスタッフの在り方として、模範でありたいという気持ちは強くなりました。受賞バッジをつけているからには常に良い接客、良い振る舞いを意識しようと襟を正すきっかけになっています。
- 住浪
- その恩恵はBtoB事業部にいる私も受けています。ショップの方が接客でブランディングをしてくださるおかげで、「良いワインを買うなら、良い時間を過ごすならエノテカだよね」というイメージがお客様の間でもすでに形成されているのを感じています。
※EGSCとは
EGSC(エノテカ・グッドサービス・コンテスト)とは、「お客様がわざわざ行きたくなるショップ」を目指し、ワインの専門性や接客力向上を目的とした社内コンテスト。ワインショップ・エノテカの社員は社歴に関係なくエントリーできる。
ワインと料理のペアリングをご案内するプレゼンテーションや、接客ロールプレイングの実技審査がある。グランプリ受賞者は海外研修に参加できる。また、接客トレーニングや社外セミナー、各種プロモーションの講師などに活躍の場を広げることができる。

初心者の方たちが「ワインの道」を歩む上で
どのようにワインを楽しむといいでしょうか?

- 安岡
- まずは「ワインを通じて良い時間を過ごせた」という経験をひとつ得られたら良いのではないでしょうか。たとえば記念日用のワインを店頭でお求めいただく場合。好みの味を伝えるのも難しい場合があると思います。そんな時は、どんなシチュエーションで、どんな時間を過ごしたいかだけお伝えしてもらえれば、あとはエノテカのスタッフにお任せください。じっくり選んでご購入いただいたワインを、大切な人と一緒に飲む。これだけですでにワインを楽しめていると思います。
- 住浪
- 味の違いを知ってみたい、ということでしたら、ブドウの品種から入るのが1番王道ですよね。どの品種が好きだと感じるか、何となくでも絞れているとお店での注文もしやすくなると思います。その次は国ごとに比較してみると楽しみ方に広がりも出てきますよ。
- 山﨑
- そこまで来たら、グラスに目を向けてみるのも良いかもしれません。形の合ったグラスで飲むと、ワインの味わいや香りが本来のポテンシャルを発揮するようになるので、色んなグラスで飲み比べしてみるのも楽しいと思います。
みなさんが思う「ワインの魅力」を教えてください。

- 山﨑
- 皆で楽しく飲むことも、一人でじっくり向き合うのも楽しいですよね。大切な人と飲むワインは空間に華を与え、最高の時間を演出してくれます。自分の時間にあらゆる彩りを与えてくれる飲み物です。
- 安岡
- 気づきの機会をくれる存在ですね。ワインを通じて、仕事への向き合い方や人としての在り方、様々な角度から自分を見つめ直す機会をもらっています。
- 山﨑
- 最近の気づきはありましたか?
- 安岡
- とある生産者とお会いして「こんな大人になりたい」という目標ができました。自分の哲学に強いこだわりは持っているけれど、物腰は柔らかく周囲への気遣いも欠かさない方。ブレない軸はありつつ温かみを感じるお人柄に、完全に惚れてしまいましたね......。

- 住浪
- 素敵です!普段の生活ではお会いできない方と繋がれるのもワインならではですよね。私も、試飲会や研修を機に世界中のワインラヴァーとの時間を共にできたことは大きな糧です。旅行の際も「あの国のワイナリーに行きたい」と選択肢が広がりました。人生をより豊かにしてくれる存在です。
- 山﨑
- それでもまだ追求したいと駆られるのがワインの魅力...というか魔力?でしょうか。毎月の食費をゆうに超えていくワイン代にも慣れました(笑)。
- 住浪
- 私もふと我に帰った時、自分の没頭具合にハッとする時があります。家を建てる際も、ワインセラーのスペース確保は絶対譲れない条件だったんですよ。
- 安岡
- 何かに没頭したいという方には楽しくてたまらない世界ですよね。
- 山﨑
- そのモチベーションを存分に発揮できる環境だと思います!今日は皆さんとワインへの熱い想いを共有し合うことができて大変嬉しかったです。
- 住浪
- お互い、今後もそれぞれの形でワインの世界に没頭していきましょう!

スカラシップ受賞
安岡嵩生
商品部 ブランド課 2020年入社
早稲田大学 教育学部 卒

A.S.I.
Sommelier
Diploma

J.S.A.
日本ソムリエ協会
『ソムリエ』


住浪千彩
BtoB事業部 2018年入社
早稲田大学 政治経済学部 卒

WSET
『Level4』
Diploma

J.S.A.
日本ソムリエ協会
『ソムリエ』


グランコンシェルジュ受賞
山﨑大地
ワインショップ事業部 2010年入社
大阪産業大学 経営学部 卒

EGSC
『グラン・
コンシェルジュ』

J.S.A.
日本ソムリエ協会
『ソムリエ』

J.S.A.ソムリエ・
スカラシップとは
次世代を担う若手ソムリエの育成、および全日本最優秀ソムリエコンクール強化選手の選考を目的とした、日本ソムリエ協会が主催するコンクール。筆記試験をはじめ、テイスティングやサービス実技などを審査し、今後ワイン業界を盛り上げていく人材として、能力だけではなく人柄も重視される。
ホテルやレストラン業界に勤めるソムリエの参加者が多い中、インポーターであるエノテカは2017年より通算5人目の受賞者となる。受賞者は奨学金の支給、研修旅行等に参加できる。


WSETとは
ワイン産業をサポートするイギリスのワイン商組合『Vintners Company』により1969年に創設され、現在では世界70カ国でWSETの教育組織が運営され、年間約95,000人が認定試験を受験するなど、国際的に認められている認定資格。
コースはLevel 1〜4に分かれており、最高レベルのLevel 4はワインに関するオールラウンドなプレミアム資格として世界に認められている。資格取得者には受験費用の補助と、資格手当が毎月支給される。


EGSCとは
EGSC(エノテカ・グッドサービス・コンテスト)とは、「お客様がわざわざ行きたくなるショップ」を目指し、ワインの専門性や接客力向上を目的とした社内コンテスト。ワインショップ・エノテカの社員は社歴に関係なくエントリーできる。
ワインと料理のペアリングをご案内するプレゼンテーションや、接客ロールプレイングの実技審査がある。グランプリ受賞者は海外研修に参加できる。また、接客トレーニングや社外セミナー、各種プロモーションの講師などに活躍の場を広げることができる。

